マイケル・ヨン への独占インタビュー
「あなたは、北京の独裁国家が過去の犯罪を無視し、好ましい印象を与えるように注意深く計算された映像とメッセージをアメリカ人に向けて浴びせていると思いですか? 北京の独裁国家はどのようにして自らの犯罪を無視しようとしていますか?」
今日、北京によって大量の資金をつぎ込んで推し進められている巨大なプロパガンダ、特に習近平国家主席の政府によって強力に推し進められている巨大なプロパガンダに気がつかないなどと言う者は、単に注意を払っていないか意図的にプロパガンダをサポートしているのです。
今の中国政府にとって国民の注意を1989年の天安門事件後の不安と政治への反発から国外の敵へと向けることが必要ということは誰の目にも明らかです。(最初は反米キャンペーンだったがすぐにもっと容易なターゲットである日本にシフトし、わざわざ内部の敵も生み出しました:法輪功、すなわち中国のユダヤです)。国家的犯罪は数知れません。それは建国のごく初期にまでさかのぼります。すなわち1930年代と1940年代の毛沢東の反乱勢力による郁南での大規模な人権侵害犯罪にはじまり、政敵の皆殺し、非漢族であるチベット、新疆ウイグル自治区、満州などでの少数民族の弾圧、「大躍進政策」(婉曲的に表現されているが)、今日では習によって続けられている政敵の粛正と軍事力による国境侵犯、特に南”支那”海での暴挙などです。また中国は米国メディアと配信ネットワークを買収し自国の主張と異なるメディア製作会社や配信社へ圧力をかけています。多くの主要なメディアに対して中国が完全な欺瞞をまきちらしているのは明らかです。
おそらく最も恐ろしい犯罪は自国民の弱者に対するものです。毛沢東によって主導された壊滅的経済政策のために数百万人が死亡しました。しかしこの数は残酷な”一人っ子政策”のために中国の警察権力によって実行された強制的な中絶と不妊手術の数に比べれば霞んできます。政府の統計によれば、中国では1971年からこれまでに約3億3千件の中絶があったとされています。ある研究者によると、その多くが自らの意志ではありませんでした(すなわち政府の指示)。ほぼ2億件の不妊手術がなされ4億人以上がIUD(子宮内避妊器具)を挿入しました。繰り返し指摘しますが、そのほとんどが女性自身の意志を無視してなされたものでした。中国における女性の自殺率が世界で最も高いことは驚きでも何でもありません。女性の自殺率が男性よりも高いのは世界でも二カ国だけでですが、中国はそのうちのひとつです(もう一つはアフリカのサントメ・プリンシペ民主共和国)。
いまや世界の人口の5人に1人は中国人ですが、世界の女性の自殺者の56%を中国人の女性が占めています。そればかりではなく女性に対する暴行もはびこっています。暴力対象は大人あるいは大人の女性に限定されるものではありません ― 中国では女性の地位は低いのです、何十年にもわたって男子を望むために女性に対して選択的中絶が強要されてきたことも理由の一つです。それに加えて中国政府は反体制の者を捉まえてきて、でっち上げの罪名をつけ有罪としています。自分たちが不正に蓄えた富を守るために人民を収穫する悪夢のような政治システムを作り上げています。
「中国が好ましい印象を与えるためにメディアに対して、例えば文学に対してどのようなことをしているのか実例をあげてくれませんか。」
例をあげるときりがありません:高い城の男、アイアンマンIII、レッド・ドーン(デジタル処理で敵を中国軍から、笑ってしまいますが、北朝鮮軍の侵略に入れ替えてしまいました)。大作映画や本では第二次大戦における中国軍の役割を神話化していますが、実は当時、毛沢東は中国共産党の真の敵である中国国民党のファシスト蒋介石に対抗するため、積極的に日本軍を支援していました。アメリカの製作会社や配給会社を買収し続けているので(最も最近では大手のディック・クラーク・プロダクションを10億ドルで買収しようとしています)、近い将来、我々は同じような映画を沢山見ることになるでしょう。
ありがたいことに米国政府はようやく事態の収拾にのりだしました。2016年、議会はオハイオのRob Portman上院議員が提出したS.2692対情報戦法案を可決しました。この法案は米国と重要な同盟国の安全保障を脅かす中国の偽情報とプロパガンダと戦うために提出されました。
一つの鍵となる例は孔子学院(Confucius Institute)です。これは米国の大学と教育システム全体に北京のパワーを注ぎ込む「じょうご」の役割を担っています。予算的に厳しい米国の大学の外国語学部や東アジア研究学部にとって、教員の雇用や昇任、カリキュラムの開発のために、まったく都合の良い資金源となっています。彼らは北京の諜報員としての役割も果たします、世論を調査し、外交的、経済的、政治的圧力をかけ、中国政府が望むことを実現させるのです。
加えて世界抗日戦争史実維持連合会(Global Alliance)があります。この団体は直接、北京からの資金提供をうけています。アイリス・チャンの著書、レイプオブ南京(1997)、の出版をバックアップしていたことでも知られていて、アメリカの学術界やメディアがこの手の作り話を世間に流布するときの影の立役者でもあります。
大連万達グループ(Dallas Wanda Group)の会長、王建林(Wang Jianlin)は、アメリカの映画産業から直接世界に向けたプロパガンダのパイプラインを構築するためにハリウッドのキーとなる不動産を大々的に買収しています。これらの全てが同時に働き、非常にパワフルな思想コントロールシステムを作り上げています。
私はこの情報戦を11カ国で調査してきました。それには「慰安婦」あるいは「性奴隷」の件も含まれます。いわゆる旧日本軍がかつて20万人から40万人もの女性をさらってきて性奴隷にするためにさらってきた、との申し立てです。これについては私の知り得たことを何百ページも書くことが出来ます。この件について調べるために私が旅してきた国々は、中国、台湾、タイ、韓国、日本、フィリピン、ミャンマー、オーストラリア、インドネシア、マレイシア、米国です。
調査から驚くべき事がわかりました。そんなことは一切無かったと。完全な嘘です。日本軍は慰安婦を雇ってはいましたが大規模な人さらいをしたなどということは全くのデタラメです。もちろんインドネシアでの事件の様に散発的な犯罪はあったが、あくまでそれらはほんの少数であって、日本軍として実行されたものではありません。こう聞くと日本嫌いは言葉を濁し、決まって”バターン死の行進”はどうなるんだと聞いてきます。もちろん戦争犯罪はありましたし我が軍の捕虜は時にはひどい扱いをうけ、そうでないときもありました。連合軍捕虜の扱いがひどかったこともあった。当時の日本は「天使」などではありませんでしたが、だからといって悪魔的なナチスでもありませんでした。例えば日本は第二次大戦中にナチからユダヤ人を救いました。イスラエルからも表彰されています。戦争とはとても荒っぽいものですし当時日本は必死でした。自国軍ですらも兵器無しに飢え死にすることもあったほどです。
なにかの訴えが事実であったからと言って全ての訴えが事実というわけではありません。たとえば有名人である著者のローラ・ヒレンブランドは自身の著書で旧日本軍がTinian島で5千人の韓国人を殺したとしています。これはまっかな嘘です。ヒレンブランドは彼女のベストセラー小説、アンブロ-クンで、コピペの「ジャーナリズム」をしてしまいました。これについて私は彼女に質問状を送りましたが、彼女は黙りをきめこんでいます。この件を証明できた者に私は2万ドルの報奨金を進呈すると宣言しました。事実ならば証明は簡単なはずです。だが私のチームは調査でこれが完全な嘘であることを知っています。2万ドルの報奨金はまだ生きていますが。
それぞれの件は別々に扱われるべきです ― 十分に驚くべき事に、世界中のメディアが何の証拠も無いのに「性奴隷」のことを言っています、米国の公式文書が明らかにした証拠に反して。
今日、日本は世界でも最も進んだ文化を持つ国の一つです。これは一晩で成し遂げられたものではありません。もちろん第二次大戦の敗戦や米軍の進駐がもたらしたものでもありません。日本はずっと昔から文化的でした。むしろ中国は野蛮な来訪者で、韓国はといえば日本をねたみ常に注意をひこうとしているのです。中国はそのことを知っていて自分たちの目的のために韓国を利用しています。日本はただ平和にしていたいだけなのに中国と韓国がそうはさせない。もちろん中国の最終標的は米国で私もその点に注目しています。
「過去1世紀においてシナ-日本の間にはしばしば戦争があったが、中国政府は米国の一般世論に影響を及ぼして日本を孤立化させようとしているのか?」
その質問は中国のプロパガンダの有効性を証明するものでもあります。日本は現在の中国政府(CCP)と”一度も”戦争していません、現在、台湾にある政府(KMT)とのみ戦いました。先に述べたようにCCPはKMTと戦うために毛沢東のもとで何度も日本を手助けしました。Phillip K. Jowettが指摘したように、1930年代から1940年代の中国本土が混乱していたときに、のべ600万人の中国人が直接的に旧日本軍の指揮下に入るか、あるいは日本軍の仲間となりました。
歴史的に様々な国が中国大陸に存在しましたが、それらを仮に中国と総称したとすれば、中国が日本と戦ったのは1270年代にはじまる二度のモンゴルと日本の戦い、1890年代の日清戦争、1900年代からの義和団の乱で日本を含むアメリカ、イギリス、ロシア、その他4カ国との戦い、くわえて1930年代からの日中戦争です。中国の人々に対しての略奪の多くは、モンゴルや満州族あるいは漢民族などの様々な政府によってなされたものなのです。
日本が中国の文明化を恐れて何世紀にもわたって戦争や戦争をするとの脅し、また戦争と強奪を繰り返していた ― などといったことは全くありません。(当時、島国である日本はミシシッピ州ほどの自然資源しかなく、過去2世紀にわたって最も強力な軍事力を持っていた国に対して戦争をしかけるとの脅しや実際に戦争を実行することなど考えられませんでした。19世紀終わりになって中国が政治的にも軍事的にも弱体化し、一方ですばやく工業化を成し遂げた日本が長年にわたる東アジア全域における中国の覇権に対して挑戦したのです。)
歴史家のYayama Taroが書いているように、日本には中国を尊敬する長い歴史があって、そのために中国を大きく評価していました。日本が何世紀にもわたってアジアの略奪者であったとする考えは全くの誤りです。
「あなたは過去10年にわたって20カ国以上のアジアの国々を訪れています。この重要な地域における地政学的について、ライターとしてのあなたの意見は?」
1950年代から我々は中国と冷戦状態にあります。このことを無視すること、あるいは忘れてしまうことは簡単です。しかし我々は北朝鮮とその同盟国であって朝鮮戦争において公然と国連軍に戦いをしかけてきた中国と戦闘状態にあります。それはまた朝鮮半島の分断と38度戦における長期の緊張状態の行方を左右する鍵でもありますし、北朝鮮は米国を叩きのめすとはっきりと言っているのです。「新しい/仮定の冷戦」は非常に現実的です。